当団体代表の松本彩月による多胎に関する論文が公開されました。
四日市大学論集
多胎育児者の外出における課題と展望
ツインベビーカーとバス、パーキングパーミット制度の事例から
松本 彩月
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要約
この論文の主要なポイントを以下にまとめます:
1. 研究目的と背景
– 多胎育児者(双子・三つ子の親)が直面する外出時の困難さを、特にツインベビーカーの使用に焦点を当てて分析
– 公共交通機関(バス)の利用とパーキングパーミット制度(優先駐車場制度)について検討
2. バス利用における課題
– ツインベビーカーでのバス乗車には以下の3つの条件が必要:
– 大型バスであること
– 2箇所の優先固定スペースが空いていること
– 安全装置(シートベルト・車輪ストッパー)があること
– これらの条件を満たすことが困難で、実質的にバス利用が制限される状況がある
3. パーキングパーミット制度の現状と展開
– 2024年6月時点で42府県が導入
– 15府県が多胎児家庭に対して単胎児家庭より長い利用期間を設定
– 多胎児家庭の場合、最長で産後3年間の利用を認める自治体が増加傾向
4. 主な課題と提言
– バス:車内レイアウトの根本的改善が必要
– 駐車場:多胎育児の特殊性(ツインベビーカーの幅、安全確保の必要性)への理解促進
– 制度の全国統一的な導入と運用の必要性
– 外出支援における物理的・社会的バリアの解消の重要性
5. 結論
– 多胎育児家庭の外出支援には、交通手段の整備だけでなく、社会全体の理解と支援体制の構築が必要
– 異なるニーズを持つ人々への配慮と、誰もが安心して移動できる環境づくりが重要
この研究は、多胎育児家庭の外出における具体的な課題を明らかにし、それに対する社会的支援の在り方を提示した点で意義がある。